ひつじの絵をかいて!

いろいろ拗らせた本の虫女子大生の独り言。すべては主観であり、個人的な意見です。

本の話

みんな少しずつ欠けている──彩瀬まる『骨を彩る』

私の中で、いつも、骨みたいなものが、足りなくて」 (彩瀬まる『骨を彩る』、幻冬舎、2017年、p.113) 自分の中に欠落を見出したのは、いつのことだったでしょうか。その欠落のことを思うと、何者にもなれない自分が少しだけ特別なものになれた気がしました…

一直線じゃない「進化」と就活──池澤夏樹『科学する心』

就活がしたくない。 (この下はもう全然読まなくていいです、ただの愚痴なので) びっくりするほど就活がしたくない。このまま穴掘って寝たい。本読んで映画観てマンガ読む高等遊民になりたい。就活したくない。したくない、就活。 私は現在大学三年生です。…

なめられても言い出せない私へ──芥川賞候補作・高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』

芥川賞をみんなで読む読書会(ちょっとぼやかし)に参加して、自分のなんとなくの感想が言語化できたので、まとめます。 高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』は女の子のための物語でした。(と言ってしまうと安っぽくなるので嫌なのですが) …

一過性の小説の話──古市憲寿『平成くん、さようなら』

良い小説を定義するのは難しいことだと思います。 出版社にとっての良い小説とは、売れる小説かもしれませんし、読者にとっての良い小説とは、自分に寄り添ってくれるものかもしれません。アイドルファンにとっては、推しが出版した小説が一番良い小説かもし…

元カノ殺す界隈におくる、戦闘力のある本の話──綿矢りさ『かわいそうだね?』

「元カノ殺す界隈」、とは何ぞや?という方も多いかと思います。 初っ端から物騒な単語を繰り出してしまい、失礼いたしました。 そして、元カノ殺す界隈のみなさま、ごきげんよう。Twitterにそれ専用のアカウントは持っていないものの、いつもひっそりと皆様…

ホラー初心者がホラー小説を読んだ話──鳥谷綾斗『散りゆく花の名前を呼んで、』

人にはそれぞれの趣味嗜好があるように、好む本も様々です。 小説、実用書、絵本というジャンル分けの中に、さらに小説であればミステリ、ファンタジー、時代小説、純文学とさらなるジャンルがある中で、そのすべてを網羅しているという人はおそらくいないの…

主人公としての資質の話──吉本ばなな『N・P』

こんにちは。いつも前置きが本編ですと言わんばかりに長くなってしまうので、今日はダイレクトに本の話に入ろうと思います。 吉本ばななさんの『N・P』を読みました。 N・P (角川文庫) 作者: 吉本ばなな 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 1992/11/06 メデ…

政治的正しさと小説の話──雪舟えま『緑と楯 ハイスクール・デイズ』

「ポリティカルコレクトネス」という言葉をご存知でしょうか? 日本語だと「政治的正しさ」と訳されるものです。 ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC、ポリコレ)とは、性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目…

読書歴の話──①高校二年生編+α

こんにちは。これまでもいくつか記事を書いてきましたが、最初に自己紹介をするのを忘れていたことを思い至ったので、今回は自己紹介がてらこれまでの読書遍歴をお話します。 現在都内の大学三年生で、文系ですが専攻は小説とは程遠い分野です。読書の他にも…

キャラクター小説かと思ったら違った話──雪舟えま『バージンパンケーキ国分寺』

キャラクター小説というジャンルはご存知ですか? ウィキ先生では「ライト文芸」として紹介されています。まだジャンルとしての歴史が浅いからか、様々な呼び名があるようです。 「ライト文芸」というジャンルには明確な区分けが存在していないが以下のよう…

旅に連れて行った本の話──江國香織『きらきらひかる』

明日から旅行に行く、となったら、あなたはどんな荷造りをしますか? 日程分の服を着回しも考えて用意し、メイクポーチを入れて、あ、ヘアアイロンも必要かもしれない。コンタクトレンズも持っていかなくちゃ。絶対歯ブラシって忘れがちだよね……。と、一般の…

本をジャケ買いした話──渡辺優『ラメルノエリキサ』

突然ですが、皆さんはどのように次に読む本を決めますか? 人に勧められたものを読むのか、背表紙を見て直感で選ぶのか、新刊から節操なく読んでいくのか、気になる隣の席のあの子が手にしていた本を読むのか……。様々なタイプの人がいることとは思いますが、…