ひつじの絵をかいて!

いろいろ拗らせた本の虫女子大生の独り言。すべては主観であり、個人的な意見です。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

現実を克服するための創作の話──湯浅正明監督「夜明け告げるルーのうた」

一般教養の授業だったか、何かの本だったか、はたまたネットか、どこで知ったのかは覚えていませんが、印象に残っている話があります。 それは、既存の社会の根本を揺るがすような事象が起きると、創作人は必ずそれを自身の創作に何かしら取り込むという話で…

一過性の小説の話──古市憲寿『平成くん、さようなら』

良い小説を定義するのは難しいことだと思います。 出版社にとっての良い小説とは、売れる小説かもしれませんし、読者にとっての良い小説とは、自分に寄り添ってくれるものかもしれません。アイドルファンにとっては、推しが出版した小説が一番良い小説かもし…

元カノ殺す界隈におくる、戦闘力のある本の話──綿矢りさ『かわいそうだね?』

「元カノ殺す界隈」、とは何ぞや?という方も多いかと思います。 初っ端から物騒な単語を繰り出してしまい、失礼いたしました。 そして、元カノ殺す界隈のみなさま、ごきげんよう。Twitterにそれ専用のアカウントは持っていないものの、いつもひっそりと皆様…

ホラー初心者がホラー小説を読んだ話──鳥谷綾斗『散りゆく花の名前を呼んで、』

人にはそれぞれの趣味嗜好があるように、好む本も様々です。 小説、実用書、絵本というジャンル分けの中に、さらに小説であればミステリ、ファンタジー、時代小説、純文学とさらなるジャンルがある中で、そのすべてを網羅しているという人はおそらくいないの…

主人公としての資質の話──吉本ばなな『N・P』

こんにちは。いつも前置きが本編ですと言わんばかりに長くなってしまうので、今日はダイレクトに本の話に入ろうと思います。 吉本ばななさんの『N・P』を読みました。 N・P (角川文庫) 作者: 吉本ばなな 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 1992/11/06 メデ…

政治的正しさと小説の話──雪舟えま『緑と楯 ハイスクール・デイズ』

「ポリティカルコレクトネス」という言葉をご存知でしょうか? 日本語だと「政治的正しさ」と訳されるものです。 ポリティカル・コレクトネス(英: political correctness、略称:PC、ポリコレ)とは、性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目…