ひつじの絵をかいて!

いろいろ拗らせた本の虫女子大生の独り言。すべては主観であり、個人的な意見です。

深読みすると元カノを殺したくなる話──映画「武士の献立」

ゼミの文献購読やら、掛け持ちしているサークルの仕事やらで忙殺されて、だいぶ更新が滞ってしまいました。

 

忙しい中にも何とか本を読んだり映画を見たりはしてるので、時間のある時にそれらの感想をゆっくり書いていけたらと思っています。

 

書きたいことを溜めに溜めているわけですが、今日は、まさに今日見た映画の感想を書きます。感想を寝かせもせずに書くので、いつも以上に支離滅裂、また内容的にネタバレがひどいですがご容赦ください。

 

さて、以前の記事にも書いたかもしれませんが、私は元カノ殺したい界隈の人間です。彼氏が元カノみ未練たらたらというわけでもなく、元カノが彼氏に未練たらたらというわけでもありません。火のない所に煙は立たぬとは言いますが、私は妄想で煙を立てては病み、日々彼氏になだめられています。

 

未練がなくても、ふとした会話に元カノの影がちらつく時点でもういやなのです。「前からプレゼントのセンスはないって言われてきたんだよね」え、だれに?え、○○さんだよね?何あげたの?それいつのこと?

 

そんな私が、共感するはずもないだろうという映画で、主人公に無駄に共感してしまいました。

それが、こちら「武士の献立」。

 

武士の献立

武士の献立

 

 

料理が得意な春は、その腕を見込まれ、加賀藩の藩主の台所をつかさどる舟木家に嫁に来る。しかし春の夫になった安信はとんだ料理下手であった。春は安信の料理の腕の上達をもくろむのだが...?

というストーリー。

 

亭主関白絶頂期のこの時代に、夫に強気にでたり、時にうまく立ち回って奮闘する春の姿に胸が熱くなります。あと、料理がとてもおいしそう。私は昔から本でも映画でも、おいしそうなものが出てくるものが大好きだったので、この映画もおいしいものがたくさん見られそうだな、くらいの気持ちで見始めました。しかしこれはとんだ元カノ殺す案件の映画でした。

 

※以下ネタバレ注意!!

 

順調に進むストーリーで、おやおやと最初に思ったのは、安信の親友の妻・佐代が祝いの品を舟木家に持ってきたところでした。春の姑が「安信の祝いの品を佐代どのにもらうことになるとはなあ」と一言発し、気まずい雰囲気に。姑は説明もせず、春は置いてけぼりになります。絶対この女安信と昔何かあった。でも嫁いできたばっかりだし聞くに聞けない、、!

 

おやおやはまだ続きます。安信の文箱に見知らぬかんざしを見つけた時。

そして、安信が料理の腕を上げ、昇進が決まったときに、春は佐代に祝いの品を渡されます。その時に佐代が一言「春様が来てくれて、私も肩の荷が下りた気がします」(うろ覚え)。

おやおやおや、それは宣戦布告ととってもよろしいか?手袋なげられましたか?過去の女の余裕的な奴、見せつけてくるのやめてくれませんか????

春がその出来事を姑に話すと、姑は二人の過去を明かしてくれます。

 

佐代は安信が幼少のころから通っていた道場の一人娘で、最初は安信の一目ぼれでした。年も近く、二人は幼馴染として育ち、安信は剣の腕を磨いていきました。佐代は一人娘だったので、次男坊の安信が婿に入るものだと、安信の両親も思っていました。しかし、土壇場で安信の兄が死に、安信は家を継がねばならなくなりました。佐代は結局安信の親友と結婚することになります。

 

うわあああああと頭をかかえそうになるほどアウトな案件ばかりです。まず幼馴染っているのがダメ。「こいつとは幼馴染だから」っていうのはダメな男の常套句でもあります。(知らんけど)あと、結ばれるはずだったのに運命に引き離されたっていうのもダメ。その悲劇的な感じがさらに二人を引き寄せてしまいます。ロミオとジュリエットみたいに。

 

その後もかくかくしかじかあって、結局親友は政治闘争に巻き込まれて死に、佐代はひっそりと加賀に戻ってきます。その報告を親から聞いた時の安信の反応もダメ。そんな目見開いて「佐代が、、?」って言わんでもよかろうに。隣に嫁がいるのに違う女のこと聞いて嬉しそうにせんでもよかろうに。

 

安信は饗応料理という、大きな仕事を任され、城に赴きます。そして帰ってくると春の姿がなくなっているのです。手紙には、自分の役目はもう終わったこと、安信には舟木家にふさわしい相手を嫁に迎えて欲しいことが書き残されています。

 

春はただでさえバツイチで、安信より四歳上の身。なかなか子供もできず、そんな中で夫の昔好きだった人の話がにおわせってレベルじゃなく次々突きつけられたら、そりゃそうなるよ、と思いました。私ならねちねち安信と佐代に嫌がらせをしたかもしれませんが、春は立つ鳥跡を濁さずといった感じであっさり身を引いてしまいます。

 

しかし、ラストのシーンで海辺の海女たちのところに身を寄せる春のもとに安信が現れ、やっと「お前がいい」と春に告げ、二人はともに舟木家へ帰ります。遅いよ安信、遅すぎるよ。君がそこまで出世できたのは春のおかげでしょう。言葉足らずだからわざわざ遠くまで探しに来る羽目になるんだよ。わかったか。

 

と、このように、ハートフルお料理時代劇のはずが、主人公にどうしようもない方向で感情移入してしまった日でした。この映画の教訓は、男は元カノを安易ににおわせない、ということですね。※個人の意見です